現代社会では多くの人がデジタル化の進展により、むしろ忙しさが増していると感じています。AIやデジタルツールが発達しても、私たちの生活はより急き立てられ、ストレスフルになっている現実があります。しかし、成果を出し続けるビジネスパーソンには共通点があります—彼らは「疲れていないのではなく、疲れからいち早く回復する方法を実践している」のです。本記事では、日々のストレスに負けない、効果的な休息の技術について詳しく解説していきます。
疲れを知り、予測する「カラダ手帳」の活用法
自分の疲労パターンを可視化する
「人は疲れるもの。疲れない体は絶対に手に入らない」と断言するのは、医師でありMBA取得者でもある裵英洙さんです。外科医として約10年間昼夜問わず働いた経験から、彼は「疲れにくく、疲れてもいち早く回復できる生活習慣」の重要性に気づきました。
その気づきから生まれたのが「カラダ手帳」という方法です。これは普段使っている手帳に体調を記入していくだけのシンプルな仕組みですが、効果は絶大です。自分のスケジュールが疲労にどう影響しているかを「見える化」することで、疲れを溜め込まない生活が実現できるのです。
休息を計画的に組み込む
カラダ手帳の特徴は、仕事の予定の後には必ず「休息タイム」を記入することです。私たちは空いている時間に予定を詰め込みがちですが、計画的に休息を組み入れることで、疲れと上手に付き合えるようになります。
具体的な手帳活用テクニックとして、以下の3つが挙げられます：
- 仕事や作業といった疲れる予定を入れる際は、その後に「休息」をセットで書き込む
- 睡眠、頭痛、月経周期、排便などの体調を記号で記録する
- 1ヶ月単位、季節が変わる3ヶ月単位で手帳を見直し、自分の「疲れのパターン」を把握する
このような記録を続けることで、例えば「夕食が遅い時間になった翌日に睡魔に襲われる」「睡眠時間が5時間を下回った日に集中力が落ちる」といった自分固有の疲労パターンが見えてきます。これにより、疲れを予測し、事前に対処することが可能になるのです。
効果的な休息テクニック
マインドフルネスで心身をリセットする
欧米のエグゼクティブたちの間では、瞑想が効果的な休息法として定着しています。アップルの創業者スティーブ・ジョブズも禅と出会い、瞑想に励んでいたことで知られています。
瞑想は仏教の禅宗の修行として知られていますが、現代では「マインドフルネス」として科学的アプローチとともに広がっています。マインドフルネス呼吸法は疲れた脳に効果的で、ストレスの影響を認識し、マインドフルな基本姿勢を取ることが重要です。
基本的な生活習慣の見直し
コピーライターの糸井重里さんは「ちゃんとメシ食って、風呂入って、寝ている人にはかなわない」と語っています。寝食を忘れて無理して働くことで一時的な成果を出せるかもしれませんが、長期的には基本的な生活習慣を整えている「健全な人」に追い抜かれていくという実感を述べています。
適切な食事、十分な睡眠、規則正しい生活は、最も基本的でありながら最も効果的な休息の技術なのです。特に睡眠については、質の高い睡眠を取るためのポイントを押さえることが重要です。
アクティブレストの活用
長期休暇で逆に体調を崩してしまう人には「アクティブレスト」が効果的です。これは完全に何もしないのではなく、適度に体を動かしたり、気分転換となる活動を取り入れる休息法です。
具体的には以下のような方法が効果的です：
- 抱えている仕事を一つ減らす
- 60分に1度はストレッチをする
- 自分に合うなら昼間1時間の睡眠を取る
- お気に入りの服を着て自分を大切にする
ビジネスパーソンのための実践的休息戦略
小さな休息を積み重ねる
忙しいビジネスパーソンは、大きな休暇が取れないことも多いでしょう。そんな時は、日常の中に小さな休息を積み重ねる戦略が効果的です。裵さんも外科医として昼夜問わず働いていた経験から、短時間でも効果的な休息の重要性を説いています。
日中のコーヒーブレイクや短時間のストレッチ、深呼吸など、わずかな時間でも意識的に「休息」と位置づけることで、疲労の蓄積を防ぐことができます。
脳の休息を意識する
脳はアイドリング状態でもエネルギーを8割消費するというデータがあります。つまり、何も考えていないつもりでも、脳は常に活動しているのです。そのため、意識的に脳を休ませることが重要になります。
瞑想を取り入れることで、集中力の向上やストレス軽減など、8つもの効果が期待できるとされています。特に判断を求められる立場にある人にとって、クリアな思考のためには十分な脳の休息が不可欠です。
持続可能な働き方と休息のバランス
疲れを恐れず、上手に付き合う
裵さんの言葉にもあるように、「人は疲れるもの」であり、疲れないことを目指すのではなく、疲れにくく、疲れてもいち早く回復できる生活習慣を身につけることが大切です。
ストレスフルな現代社会では、完全に疲れを避けることは不可能ですが、「なんとなく疲れている」状態から脱し、自分の疲れのパターンを知ることで、より効率的に休息を取り入れることができます。
長期的視点での休息設計
糸井重里さんも述べているように、持続可能な成果を出し続けるには、短期的な無理ではなく、長期的な視点での休息設計が重要です。一時的な華々しい成果よりも、淡々と着実に仕事を進めていける「健全さ」が、最終的には勝る結果を生み出すのです。
結論：休息は贅沢ではなく必須のツール
ストレスフルな現代社会において、休息は単なる贅沢ではなく、持続的なパフォーマンスを発揮するための必須ツールです。カラダ手帳による疲労の可視化、マインドフルネスによる心身のリセット、基本的生活習慣の徹底、そしてアクティブレストの活用など、さまざまな休息技術を組み合わせることで、疲れを翌日に持ち越さない生活を実現できます。
重要なのは、休息を「怠け」や「非生産的な時間」と捉えるのではなく、むしろ高いパフォーマンスを発揮するための積極的な投資と捉える視点の転換です。明日もいきいきと活動するために、今日の休息を大切にしましょう。
