子育てにかかる教育費の全体像
効果的な貯蓄プランを立てるためには、まず教育費の全体像を把握することが重要です。調査によると、小学校から高校まですべて公立、大学は国立に進学した場合で約715万円、高校・大学から私立の場合は文系で約1046万円、理系では約1189万円にも上ります。これらの費用は、授業料だけでなく、給食費、学校外活動費(習い事や塾など)も含んだ金額です。
教育段階別の費用目安
各教育段階における費用の内訳は以下の通りです:
小学校(6年間)
- 公立:約193万円
- 私立:約917万円
中学校(3年間)
- 公立:約144万円
- 私立:約398万円
高校(3年間)
- 公立:約135万円
- 私立:約312万円
大学(4年間)
- 国立:約243万円
- 公立:約255万円
- 私立(文系):約397万円
- 私立(理系):約540万円
これらの数字を見ると、子どもの教育にかかる費用は決して少なくないことが分かります。特に私立学校を選択すると費用は大幅に増加します。ファイナンシャル・プランナーの竹下さくらさんによれば、「子どもの可能性を想定して貯蓄プランを立てることが大切」とのことです。

子どもの年齢・成長段階別の貯蓄プラン
子どもの成長段階によって、教育費の負担は変化します。各段階に合わせた貯蓄プランを考えていきましょう。
未就学児期(0〜6歳)の貯蓄戦略
子どもが小さいうちからの貯蓄開始が理想的ですが、今からでも遅くありません。この時期は「貯めどき」と言えます。幼稚園や保育園の費用がかかりますが、10月からの幼保無償化で浮いた費用を貯蓄に回すことも検討できます。
早い段階から大学進学資金の貯蓄を始めることで、時間を味方につけることができます。例えば、0歳から月1万円ずつ学資保険に積み立てると、17歳満期で約200万円を受け取ることができます。
小学生期(6〜12歳)の貯蓄戦略
小学生期になると、習い事や学校関連の費用が増えてきます。しかし、この時期もまだ大学進学までは時間があるため、継続的な貯蓄が重要です。
児童手当を確実に貯蓄に回すことを考えましょう。「児童手当は、生活費でうっかり使ってしまわないよう、子ども名義の口座に移すなど確実に貯める仕組みをつくりましょう。0歳からでなくても間に合います」とアドバイスされています。0歳から中学3年生までの児童手当を全て貯めると約200万円になります。
中学生・高校生期(12〜18歳)の貯蓄戦略
中学生以降は塾代などの負担が増すため、習い事をさせすぎず、家計に余力を持たせることが大切です。私立中学を検討する場合は、中学以降、毎年130万円を出せる余裕があるかを事前に検討しておくことが重要です。
高校生期は大学進学が近づくため、貯蓄の最終調整を行う時期です。特に注意すべき点として、「推薦などで高3の2学期中に進学先が決定するケースが多く、決まるとすぐ入学金が必要になるので、高3の秋までに貯めておきましょう」とアドバイスされています。
効果的な貯蓄方法とツール
子どもの教育費を効果的に準備するためには、複数の貯蓄方法を組み合わせることが重要です。
貯蓄目標の設定方法
貯蓄を始める際は、具体的な目標設定が重要です。夫婦のライフプランにおいて、何にお金が必要になるのかを明確にした上で、貯蓄額の目標を決めることが推奨されています。
「○年後までに物件取得価格の○割を貯める」のような具体的な必要額にこだわるよりも、「世帯年収の○割は貯める」という目標を軌道に乗せる方が良いとされています。なぜなら、将来の住宅購入や出産時期、子どもの人数や教育費など、将来にかかる費用を現段階で具体的に決めるのは難しいからです。
具体的な貯蓄額の目安
年間の貯蓄額は、具体的な金額を設定することが重要です。これまで貯蓄をしたことがない夫婦は、まずは年収の10%を目標にするとよいでしょう。税金や社会保険料が引かれた手取り額から10%を貯蓄に回すことが厳しい場合は、5%くらいからスタートしても構いません。
すでに貯蓄が軌道に乗っている場合は、年収の15〜20%をひとつの目安にするとよいでしょう。ただし、住宅購入時、出産、子どもの進学など、支出が多くなるタイミングでは、一時的に目標割合を変えるなどの調整も必要です。
大学進学資金の3本立て貯蓄法
大学進学資金は、以下の3つの方法を組み合わせて貯めることが推奨されています:
- 児童手当の活用:児童手当を生活費に使わず、子ども名義の口座に移すなど、確実に貯める仕組みを作りましょう。0歳から中学3年生まで全部貯めると約200万円になります。
- 学資保険:計画的に貯められる利点があり、途中解約しにくいという特徴があります。「最近の学資保険は返戻率が低いものの、途中解約しにくく、計画的に貯められるのが利点。できるだけ早めに加入するのがポイントです」とアドバイスされています。
- 積立投資:さらに余力があれば、つみたてNISAなどの積立投資を活用して資金を増やすことも検討できます。「大学まで10年以上あるなら、つみたてNISAなどの積み立て投信を活用して殖やす道を検討しても。お年玉やお祝い金も貯め続ければ、受験時に助かります」とされています。

家計の見直しと節約のポイント
貯蓄を増やすためには、支出を見直し、節約する工夫も必要です。子育て世代は、教育費や生活費の増加で財政的な悩みを抱えがちです。
子育て世代が抱えるお金の悩み
子育て世代は、子どもの成長とともに変化するライフステージの中で、様々な経済的な悩みに直面します。特に、教育費、住宅費、食費は大きな負担となり、家計を圧迫する要因となっています。
これらの悩みに加え、通信費や保険料、日々の生活費など、様々な出費への不安を抱えている家庭も多いでしょう。特に教育費は、子どもの年齢が上がるにつれて増加する傾向にあります。
効果的な節約術
限られた収入の中で貯蓄を増やすためには、効果的な節約が欠かせません。食費、光熱費、通信費、保険料など、家計のあらゆる支出を見直す必要があります。
食費の節約方法としては、まとめ買いや季節の食材の活用、料理の工夫などが考えられます。また、光熱費については、エネルギー効率の良い家電製品の使用や、使用していない電気製品のプラグを抜くなどの小さな工夫が積み重なって大きな節約につながります。
通信費や保険料などの固定費も定期的に見直すことで、大きな節約効果が期待できます。特に、不要なオプションやサービスを解約することで、月々の支出を減らすことができます。
今からでも間に合う!貯蓄を始めるためのステップ
子どもがすでに成長している場合でも、今からでも貯蓄を始めることは十分に意味があります。以下のステップで進めていきましょう。
第1ステップ:家計の現状把握
まず、現在の収入と支出を詳細に把握することから始めましょう。月々の固定費(住居費、水道光熱費、通信費など)と変動費(食費、交際費、趣味・娯楽費など)を書き出し、どこに無駄があるかを確認します。
第2ステップ:貯蓄目標の設定
子どもの年齢や将来の教育プランを考慮して、必要な教育費を計算します。そして、それに向けて月々・年間でいくら貯蓄する必要があるかを明確にします。世帯年収の一定割合(10〜20%程度)を貯蓄に回すことを目標にするとよいでしょう。
第3ステップ:貯蓄の仕組みづくり
給料が入ったら、まず先に決めた金額を貯蓄に回す「先取り貯蓄」の仕組みを作りましょう。自動引き落としや別口座への自動振替を設定することで、確実に貯蓄できます。児童手当も同様に、子どもの教育費用の口座に自動的に入れる仕組みを作るとよいでしょう。
第4ステップ:定期的な見直し
ライフステージの変化や家計の状況に応じて、定期的に貯蓄計画を見直すことも重要です。子どもの進学時期が近づいたり、家族の状況が変わったりした場合は、貯蓄目標や方法を調整する必要があります。
まとめ:子どもの未来のための賢い貯蓄
子どもの教育費を準備することは、親としての大きな責任のひとつです。今回ご紹介した貯蓄プランの立て方を参考に、ご家庭の状況に合わせた計画を立ててみてください。
重要なのは、早く始めることよりも、計画的に継続することです。今からでも遅くはありません。子どもの年齢や家庭の状況に合わせた貯蓄目標を設定し、できることから始めていきましょう。
児童手当の活用、学資保険、積立投資など、複数の貯蓄方法を組み合わせることで、効率的に教育資金を準備することができます。また、支出を見直し、節約する工夫も行いながら、無理のない範囲で継続していくことが大切です。
子どもの将来のためには、教育費だけでなく、家庭の財政的な健全さも重要です。バランスの取れた資金計画で、子どもの可能性を広げるサポートをしていきましょう。