保険は必要最低限でOK? 保険の見直しで節約&リスク削減

日本では多くの人が必要以上の保険に加入し、家計を圧迫している可能性があります。生命保険文化センターの調査によれば、約8割の人が毎月約1.5万円の保険料を支払っており、生命保険や生命共済への加入割合は79.8%に達しています。適切な保険の見直しを行うことで、年間約10万円もの節約が可能であることが分かっています。本記事では、保険の必要最低限の考え方と、効果的な見直し方法について解説し、家計負担の軽減とリスク対策の最適化を目指します。

日本人の保険加入状況と過剰保険の実態

日本国内の生命保険契約件数は実に1億9000万件に上り、20歳以上の成人1人あたり平均2件の契約を持っている計算になります。この状況は海外から「オーバーインシュアランス(過剰な保険契約)」と指摘されることもあります。公的保険制度が比較的充実している日本において、なぜこれほど民間保険への依存度が高いのでしょうか。

その背景には、万が一の事態への不安から過剰に備えようとする国民性があります。また、保険会社や代理店との関係性から勧められるまま契約したり、知人が加入しているという理由で同様の保険に加入するケースも少なくありません。このような「しがらみや惰性による加入・契約」が、不必要な保険料負担につながっているのです。

保険見直しによる具体的な節約効果

保険見直しの経済的メリットは非常に大きいことが調査からも明らかになっています。保険会社ライフネット生命の調査によると、保険を見直して「保険料が安くなった」と回答した人は、1ヶ月平均8,128円、年間にして97,536円もの節約に成功しています。

一方で、生命保険文化センターの調査では、生命保険や生命共済への加入者の年間払い込み保険料の平均は17.9万円とされており、これは毎月約1.5万円の支出に相当します。これらのデータを踏まえると、適切な見直しを行うことで保険料を約半額程度にまで削減できる可能性があり、その結果、年間約10万円の余裕資金が生まれることになります。この資金は貯蓄や資産形成、あるいは生活の質を向上させるための支出に回すことができるのです。

保険見直しの基本的な考え方

公的保険と民間保険の関係性

金融庁は2021年から、民間の生命保険はあくまで「公的保険(制度)を補完する」ものという位置づけを改めて国民に示し始めています。つまり、保険の見直しを考える際には、まず公的保険でどこまでカバーされているかを理解し、その上で不足する部分を民間保険で補うという発想が重要です。

保険見直しの真の目的

保険の見直しを実施する本質的な目的は、「家計と資産のバランスをとりながら過不足なく保障を備える」ことにあります。つまり、加入している保険が多すぎて家計を圧迫している状態も、反対に保険が少なすぎて万一の際に必要な保障が受けられない状態も問題なのです。

特に注意すべきは、独身時代に加入した保険は自分自身の補償だけを考慮していることが多く、結婚や出産などライフステージが変化した際には保障が不足しがちです。そのため、生命保険は現在の自分自身の状況に合った保障・契約内容になっているかを定期的に確認し、必要に応じて見直しを実施することが重要です。

保険見直しで確認すべき5つのポイント

生命保険の見直しを効果的に行うためには、以下の5つのポイントを確認することが重要です。

1. 保障内容

加入している保険の種類が、自身の求める保障内容やライフプランにマッチしているかを確認します。保障のニーズは「死亡保障」「医療保障」「老後保障」「介護保障」「就業不能保障」の5つの分野に分けられます。まずは各分野における公的な社会保障制度の内容を理解した上で、不足する部分を民間保険で補う方針で考えるとよいでしょう。

例えば、医療保障の場合、日本では国民皆保険制度により医療機関での自己負担は3割または2割(年齢や所得により異なる)に抑えられています。さらに「高額療養費制度」や「付加給付」といった公的な医療保障制度も存在するため、これらを十分理解した上で民間の医療保険の加入を検討すれば、保険料を抑えながら適切な保障を受けることが可能になります。

2. 保障金額

保険の保障金額が適切かどうかも重要な確認ポイントです。死亡保険の場合、必要保障額は家族構成や収入、負債状況などによって大きく異なります。特に住宅ローンなどの大きな負債がある場合は、その返済に対応できる保障額が必要になる一方、子どもが独立した後は保障額を減らせる可能性があります。

3. 保障期間

保険の保障期間が自分のライフプランに合致しているかを確認します。例えば、子どもの教育費が必要な期間のみ手厚い保障を確保し、その後は保障を減らすといった調整が可能です。特に定期保険などの場合、保障期間の設定は保険料に大きく影響します。

4. 保険料払込み方法

保険料の払込み方法を見直すことで、月々の保険料負担を軽減できる可能性があります。「月払い」「半年払い」「年払い」などのパターンがあり、支払い方法によって総支払額に差が出ることがあります。資金に余裕がある場合は、一般的に割引が適用される年払いを選択することで、長期的な負担を軽減できるでしょう。

5. 保険金の受取人

保険金の受取人設定が現在の家族構成や状況に合っているかを確認します。例えば、結婚前に両親を受取人に設定していた場合、結婚後は配偶者に変更するなどの見直しが必要になる場合があります。

生命保険会社のリスク管理と契約者保護

保険会社側も、保険契約の長期性や保険事故発生率の不確実性を認識し、実効性のあるリスク管理を行っています。ジブラルタ生命のような保険会社では、保険リスク(保険事故の発生率等が予測に反して変動するリスク)に対して、健全性維持と支払能力の確保を図るための管理体制を整えています。

保険会社は、保険料が将来の保険金等のお支払いを確実に履行できる価格設定となっていることや、契約時の危険選択や保険金等の支払査定の基準が契約者間の公平性に留意しつつ適切に設定されていることを確認しています。これは契約者保護の観点からも重要な取り組みです。

必要最低限の保険とは何か

「必要最低限の保険」とは、単に保険料を削減するということではなく、自分や家族のリスクに対して過不足なく保障を備えることを意味します。具体的には以下の考え方が重要です:

  • 公的保険制度でカバーされる部分は重複して民間保険に加入しない
  • 本当に必要なリスク(家計に大きな影響を与えるリスク)に対してのみ保険を活用する
  • 貯蓄や投資などで自己防衛できるリスクは保険に頼らない
  • ライフステージの変化に応じて保障内容を調整する

例えば、独身で扶養家族がいない場合は死亡保障より医療保障や就業不能保障を重視し、子育て世代は教育資金準備や住宅ローン返済のための死亡保障を手厚くするなど、状況に応じた保障設計が必要です。

結論:定期的な保険見直しの重要性

保険は「入りっぱなし」になりがちですが、ライフステージの変化や社会保障制度の変更に合わせて定期的に見直すことが重要です。見直しにより、無駄な保険料負担を減らして家計の余裕を生み出すことができる一方、本当に必要な保障を確保してリスクに備えることができます。

保険の見直しによって平均で年間約10万円の節約が可能であり、この資金を貯蓄や資産形成に回すことで、長期的な経済的安定につながります。保険は「安心」を買うものですが、その「安心」が高すぎては本末転倒です。必要最低限の保障を適切なコストで確保することが、真の意味での「安心」につながるのです。

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