子どもの将来のために学資保険への加入を検討している方にとって、様々な選択肢の中からどの保険を選ぶべきか、どのような点に注意すべきかは大きな関心事です。学資保険は一度加入すると長期間にわたって保険料を支払い続けることになるため、自分のニーズに合った保険を選ぶことが重要です。この記事では、学資保険に加入する前に知っておくべき重要なポイントと、あなたの家庭に合った保障とプラン選びについて詳しく解説します。
学資保険の基本目的を理解する
教育資金の積立と医療保障の二面性
学資保険に加入する目的は主に「教育資金の積立」と「子供の医療保障の確保」の2種類に分けることができます。どちらを優先するかによって、選ぶべき保険が変わってきます。
教育資金の積立としては、小学校から大学までの学費だけでなく、塾や習い事などの費用も視野に入れる必要があります。特に進学時には入学金や授業料など、まとまった資金が必要になるため、そのタイミングで保険金を受け取れるように計画することが重要です。
一方、子供の医療保障については、病気やケガによる入院・手術に備えるためのものです。ただし、自治体の医療費助成が充実している場合は、学資保険の特約としてではなく、単体の医療保険の検討も価値があります。
保険選びの大前提となる目的設定
保険選びで最も大切なのは「保険に加入するための目的を明確にすること」です。保険選びの基本的なステップは以下の通りです:
- 何のために保険に入るのか
- その目的のためにはどんな保障内容が必要か
- その条件にフィットした保険商品は何か
この手順を踏むことで、自分のニーズにマッチした保険を見つけることができます。保険選びでの失敗の多くは、自分自身のニーズと保障内容のミスマッチに起因しているため、目的の明確化は非常に重要なステップです。

学資保険選びの3つの重要ポイント
返戻率 – どのくらいの貯蓄性があるか
教育資金の積立を目的とした学資保険選びで最も重要な指標の一つが「返戻率」です。返戻率とは、「支払う保険料の総額」に対する「受け取る保険金の総額」の割合を示すものです。計算式は以下の通りです:
返戻率(%) = 受け取る保険金の総額 ÷ 支払う保険料の総額 × 100
返戻率が高いほど貯蓄性に優れており、少ないコストで大きなリターンを得られることを意味します。中には返戻率が100%を超える商品も存在しますが、医療保障や死亡保障などの特約を付加すると返戻率が低くなる場合があるので注意が必要です。
満期保険金 – いつ・どのくらい受け取るか
学資保険からいつ・どのくらいの保険金を受け取るかは、子どもの教育計画に合わせて考える必要があります。特に進学時の入学金や授業料の支払いに合わせて保険金を受け取れることが理想的です。
最近は推薦入試やAO入試などを受ける学生も増え、入学金の納付時期が早まっている傾向があります。そのため、18歳満期の保険が入学金の納入に間に合わない可能性もあります。そうした場合は17歳満期の保険を検討するなど、実際の資金需要に合わせた満期設定が重要です。
払込期間 – いつまでに保険料の支払いを終えるか
払込期間は、毎月の家計負担に大きく影響します。短期間で支払いを終えると月々の保険料は高くなりますが、長期的には負担が軽減されます。逆に払込期間を長くすると月々の負担は軽くなりますが、長期間にわたって支払い続ける必要があります。
家計の状況や将来の収入見通しを考慮して、無理のない払込計画を立てることが重要です。特に、子どもがもう1人生まれる可能性や家の購入など、今後のライフイベントも考慮に入れた計画が必要です。
契約前の必須チェックリスト
- 満期は入学金の納入に間に合うか
満期保険金がいつ受け取れるのかを確認することは非常に重要です。大学入試の多様化に伴い、入学金や授業料の納付時期が早まっているケースが増えています。大学入学費用に充てる場合は、11月頃には資金が手元にあることが望ましいでしょう。 - 契約者は父親か母親か
学資保険は契約者に万一のことがあった場合、払込免除になるという特徴があります。そのため、一般的には一家の大黒柱を契約者にすることが多いです。ただし、母親が父親と同年齢か若い場合、母親を契約者にすると保険料が安くなる可能性があります。その場合は、父親の死亡保障が十分であるかを確認することが重要です。 - 子どもの医療保障は必要か
学資保険の特約として子どもの医療保障を付けることができる商品もありますが、自治体の医療費助成制度が充実している場合は必ずしも必要ではないかもしれません。また、医療保障を検討する場合は、学資保険の特約ではなく単体の医療保険も選択肢として考えると良いでしょう。単体の医療保険であれば、学資保険の満期に関係なく継続できるというメリットがあります。 - 保険料の支払い方法の検討
半年払いや年払いにすることで、月払いと比較して保険料の支払い総額をわずかに抑えることができる場合があります。支払い方法も選択肢として検討することで、長期的なコスト削減につながる可能性があります。 - 元本割れはないか
払込保険料の累計と祝金や満期金で戻ってくる金額を比較して、元本割れしていないかを確認することも重要です。プラスになっていても、その金額が納得のいくものかどうかも最終的なチェックポイントとなります。 - 保険料の支払いに無理はないか
最も重要なのは、保険料を長期間にわたって支払い続けることができるかどうかです。将来的な子どもの増加や住宅購入などのライフイベントを考慮しながら、無理のない支払い計画を立てましょう。保険だけでなく、別途貯蓄と組み合わせて教育資金を準備する方法も検討すると良いでしょう。

祝金の取り扱いと活用法
祝金タイプの選択と据え置きオプション
学資保険には、進学のタイミングに合わせて受け取れる「祝金ありタイプ」と「祝金なしタイプ」があります。「祝金なし」でも祝金を付加できる商品もあれば、祝金が最初からセットされていて外せない商品もあります。一般的には「祝金なし」の方が貯蓄性が高いとされていますが、最近は「祝金あり」でも有利な商品も登場しています。
実際の選択にあたっては、払込保険料の総額と祝金+満期金の総額を比較して、より有利な方を選ぶことが重要です。また、祝金が支払われても後半の教育費用に使いたい場合は、「据え置き」という選択肢もあります。これは、受け取った祝金を引き出さずに保険会社に預けたままにして運用してもらうオプションです。
まとめ:自分の状況に合った学資保険選びを
学資保険選びは、「保険に加入する目的を明確にすること」から始まります。教育資金の積立が目的なのか、子どもの医療保障が目的なのか、あるいはその両方なのかを明らかにした上で、返戻率や満期保険金、払込期間などのポイントを検討することが重要です。
また、契約前には満期のタイミング、契約者の選定、医療保障の必要性、支払い方法、元本割れの有無、支払い計画の現実性などを確認することで、将来に渡って無理なく続けられる学資保険を選ぶことができます。
学資保険は単なる保険商品ではなく、子どもの将来への投資です。家庭の状況や子どもの教育プランに合わせて、最も適した保険を選ぶことが、子どもの明るい未来を支えることにつながります。まずは目的を明確にして、自分の家庭に合った学資保険選びを進めていきましょう。