年に一度は必ず受けたい!がん検診や人間ドックの選び方と費用を抑えるコツ

健康管理において、がん検診や人間ドックは病気の早期発見・早期治療のために欠かせない存在です。過去30年以上にわたり日本人の死因第1位であるがんの早期発見には定期的な検診が不可欠です。本記事では、がん検診や人間ドックの賢い選び方と費用を抑えるコツについて詳しく解説します。自治体のがん検診は500円〜3,000円程度で受けられる一方、医療機関では同じ検査でも全額負担となるため費用差は大きいです。人間ドックを選ぶ際は、診断精度や医療の質、通いやすさ、検査項目の充実度などをしっかり確認しましょう。また年代によって必要な検診は異なるため、自分の年齢や性別に合った検診を選択することが健康維持の鍵となります。

がん検診と人間ドックの重要性

がん検診と人間ドックは、健康を維持するための重要な取り組みです。特に日本においては、がんが長年にわたり死因の第1位を占めており、国もこの状況に対応するため「がん対策基本法」を制定し、がん検診の充実を全体目標の一つとして掲げています。

人間ドックは健康診断よりも詳細に全身の検査を行うもので、さまざまな病気の早期発見・早期治療につながる足がかりとして重要視されています。特に40歳を過ぎると毎年受けることが推奨され、前回の検査結果と比較することで早期発見できる病気もあるため、継続して同じ医療機関で受診することが理想的です。

健康管理は一度きりではなく、データを蓄積していくことで経時的な変化を捉え、より精度の高い健康状態の把握が可能になります。そのため、年に一度は必ずがん検診や人間ドックを受けることが望ましいといえるでしょう。

がん検診の種類と特徴

がん検診は大きく分けて3つのタイプに分類されます。「市町村などの自治体で実施するタイプ」「職域において実施するタイプ」「病院(医療機関)が独自に用意しているタイプ」です。

自治体のがん検診は、対象集団全体の死亡率を下げることを目的とした「対策型検診」に該当します。一方、職域や医療機関のがん検診は、個人の死亡リスクを下げるための「任意型検診」に該当します。

一般的ながん検診には、以下のような種類があります:

  • 胃がん検診(胃部エックス線検査または胃内視鏡検査)
  • 肺がん検診(胸部エックス線検査、喀痰細胞診)
  • 大腸がん検診
  • 乳がん検診(マンモグラフィ、視触診)
  • 子宮頸がん検診

これらの検診は性別や年齢によって受けるべき検診が異なります。例えば、男性の場合は40代から胃がん・大腸がん、50代から脳血管疾患の発症リスクが高まります。女性の場合は20代から子宮頸がん、30代から乳がん、40代から大腸がんの発症リスクが高まります。また、J-STARTという研究からも乳がん検診の重要性が示されています。

がん検診の料金相場と費用を抑えるコツ

自治体のがん検診は大幅にお得

自治体で実施するがん検診の料金相場は、検診の種類によって異なりますが、概ね500円〜3,000円程度です。自治体は費用を一部負担してくれるため、純粋な検診単価よりも大幅に安い自己負担額となっています。

具体的な自己負担額の例を見てみましょう:

  • 胃がん検診(胃部エックス線検査):1,505円(検診単価:7,103円)
  • 胃がん検診(胃内視鏡検査):3,116円(検診単価:14,005円)
  • 肺がん検診(胸部エックス線検査):527円(検診単価:2,483円)
  • 肺がん検診(胸部エックス線検査+喀痰細胞診):975円(検診単価:5,129円)
  • 大腸がん検診:584円(検診単価:2,366円)
  • 乳がん検診(乳房のエックス線検査のみ):1,291円(検診単価:5,111円)
  • 乳がん検診(視触診+乳房エックス線検査):1,619円(検診単価:7,471円)
  • 子宮頸がん検診:1,396円(検診単価:6,752円)

医療機関での検診はより高額に

病院(医療機関)で同じ検査を受ける場合には、「検診単価」の費用がそのままかかり、自由診療であるため病院によってはさらに高い料金設定であることも多いです。

費用を抑えるコツ

費用を抑えるための最大のコツは、自治体で受けられるがん検診を積極的に利用することです。自治体の検診は公共的な医療サービスとして提供されるため、大幅に費用が抑えられています。

また、料金や検診内容は自治体により少し異なります。例えば、胃がん検診であれば、バリウム検査(胃透視検査)と胃カメラ検査(内視鏡検査)からどちらかを選べる場合もあり、さらに追加料金を支払うことで胃カメラ検査に変更できることもあります。詳しい内容は、自分が住んでいる自治体のホームページや窓口などで確認するとよいでしょう。

人間ドックの選び方

人間ドックを受ける医療機関を選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です:

診断レベルや医療の質が高いところを選ぶ

人間ドックは健康診断よりも検査項目が多く、時間も費用もかかります。建物や施設の外観が新しかったりデザイン性のある場所でも、必要な設備が整っているとは限りません。医療施設として信頼できる病院は、日本総合健診医学会や日本人間ドック学会などが定めている「機能評価認定施設」などから選ぶと良いでしょう。これらの認定施設であれば、安全・正確・スムーズに検診を受けることができます。

通いやすい病院を選ぶ

人間ドックは40歳を過ぎると毎年受けることを勧められます。前回の検査結果と比較することで早期発見できる病気もあるので、なるべく毎年同じ病院で受け続けることが理想です。自宅や職場から通いやすい病院を選ぶとよいでしょう。駅からの徒歩距離が近いところは天候の影響を受けにくいためおすすめです。

また、普段の生活スタイルや仕事の状況に合わせ、予約のとりやすいところや、待ち時間が少ないところを選ぶのもよいでしょう。特に健診専門の病院は、総合病院のように外来の患者の診察時間に影響されないため、比較的スムーズに検査を受けることができます。

希望する検査項目がある

人間ドックは膨大な数の検査項目の中から、原則自身で検査項目を決めていきます。そのため、必要な検査項目や、ゆくゆく必要になっていくであろう項目を扱っている病院を選びましょう。

検査項目の選び方は、性別や年代別でかかりやすい病気を指標にするといいでしょう。また、家族からの遺伝の可能性のある病気や、生活習慣に起因する病気は、特に罹患する確率が高いため、検査項目に入れるとよいでしょう。

信頼のできる医師からの検査結果の説明や保健指導がある

検査したい項目を選んだら、その項目に対して精通している専門医がいるかどうかを確認しておきましょう。例えば内視鏡検査では、医師の技術によって検査時間の長さなどが大きく左右されます。

また病院によっては検査の結果だけを書面で伝えるのみのところもあります。各検査項目が良かったのか悪かったのか、もし悪かったとすれば何に気を付けたらいいのか指導があるところを選ぶと良いでしょう。検査結果の解釈と適切な生活指導を受けられることで、検診の価値が大きく高まります。

フォローアップ体制がある

人間ドックで病気が見つかった場合、病気の内容によっては早期に治療にとりかかったほうがよい場合があります。そのときを見据えて、再検査や精密検査が同じ病院で受診可能な、あらかじめフォローアップ体制が整っているところを選んでおくと安心です。

専門医がいる病院ではすぐに専門的な治療を始めることができます。健診専門の病院を選ぶ場合は、どんな病院と提携していてどの程度のフォローをしてもらえるのかをチェックしておきましょう。万が一の場合にスムーズに対応できるかどうかは、人間ドックを選ぶ上で重要なポイントとなります。

プライバシーや感染対策がしっかりしている

最近は男女別のフロアがあったり、メンズデー・レディースデーを設けるなど、プライバシーに配慮した病院も増えてきました。検査そのものもプライバシーに配慮して、スタッフの性別を考慮しているところもあります。また廊下や待合スペースを広くとり、感染対策面に配慮している施設もあります。特にコロナ禍以降は、感染対策がしっかりしている施設を選ぶことも重要な検討事項となっています。

年代別におすすめのがん検診

20代・30代でも受けるべきがん検診

女性の場合、20代から子宮頸がん、30代から乳がんの発症リスクが高まります。そのため、女性は20代から子宮頸がん検診を、30代からは乳がん検診も定期的に受けることが推奨されます。特に乳がん検診については、J-STARTの研究からもその重要性が示されています。

男性の場合、この年代では特に推奨される特定のがん検診はありませんが、家族歴があるがんについては早めに検診を受けることが望ましいでしょう。

40代・50代で必須のがん検診

男性は40代から胃がん・大腸がん、50代から脳血管疾患の発症リスクが高まります。女性は40代から大腸がんの発症リスクが高まります。そのため、男女ともに40代からは胃がん検診と大腸がん検診を定期的に受けることが推奨されます。また、肺がん検診も重要な検診となります。

女性は引き続き乳がん検診と子宮頸がん検診も受けるべきです。40代以降は複数のがん検診を組み合わせて受けることで、より幅広い健康リスクに対応できます。

人間ドックの費用を抑えるコツ

健康保険組合や企業の補助制度を活用する

多くの健康保険組合や企業では、人間ドックの費用補助制度を設けています。自分の加入している健康保険組合や勤務先の福利厚生制度を確認し、補助制度を利用することで自己負担額を減らすことができます。

自治体の助成制度を利用する

一部の自治体では、住民を対象に人間ドックの費用助成制度を設けています。居住している自治体のホームページや窓口で情報を確認しましょう。対象年齢や条件がある場合が多いので、事前に確認することが重要です。

時期や曜日による割引を活用する

医療機関によっては、閑散期や平日の特定の曜日に割引サービスを実施していることがあります。予約時に割引サービスの有無を確認することで、費用を抑えられる可能性があります。

必要な検査項目を見極める

人間ドックの検査項目は多岐にわたりますが、すべての検査が全員に必要というわけではありません。自分の年齢、性別、家族歴、生活習慣などを考慮して、本当に必要な検査項目を選ぶことで費用を抑えることができます。ただし、必要な検査を省略することは避け、医師と相談しながら適切な検査プランを立てることが大切です。

結論

がん検診や人間ドックは、病気の早期発見・早期治療につながる重要な健康管理ツールです。特にがん検診は自治体で受けることで費用を大幅に抑えることができます。人間ドックは診断レベルや医療の質、通いやすさ、希望する検査項目の有無、結果説明の質、フォローアップ体制などを考慮して選ぶことが大切です。

また、年代や性別によって受けるべき検診は異なりますので、自分に合った適切な検診を選択し、定期的に受けることが重要です。検診は1回受けたら終わりではなく、過去の検査と比較していくことで経時的な変化を捉え、より精度の高い健康状態の把握が可能になります。

健康は何ものにも代えがたい大切な資産です。がん検診や人間ドックを活用して、定期的な健康チェックを習慣にしましょう。長期的な健康管理を見据え、信頼できる医療機関を選び、継続的に健康維持に取り組むことが、健やかな生活を送るための鍵となります。

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