40代は生活習慣病のリスクが急増する時期です。特に高血圧と高コレステロールは、様々な心血管疾患の主要な危険因子となります。検査結果で指摘される方が急激に増えるこの年代では、早期対策が非常に重要です。コレステロール値は40代から急増し、血圧の上昇も顕著になってきます。これらの問題に対して、食事、運動、サプリメントをバランス良く活用することで、効果的に予防・改善できることが分かっています。本記事では、40代の方々が日常生活で実践できる具体的な対策について詳しく解説します。
40代における生活習慣病リスクの特徴
40代で急増する高コレステロール・高血圧の実態
40代はコレステロール値を指摘される割合が急激に増加する年代です。特に女性は閉経に伴い、悪玉コレステロール値が上昇する傾向が見られます。男性は50代でピークを迎え、女性は50代で男性の値を超えることも報告されています。この背景には、加齢による代謝機能の低下、食生活の乱れ、運動不足、食事の欧米化など、様々な要因が複合的に関わっています。
健康診断で「境界型」と診断されても軽視すべきではありません。BMIが25から28の軽度の肥満群であっても、耐糖能異常、2型糖尿病、高血圧、高中性脂肪血症、高コレステロール血症、低HDLコレステロール血症などを発症する危険率は正常体重の2倍に上ると報告されています。日本人のBMI 25以上30未満の比率は、男性で21.4%、女性で18.9%を占めており、生活習慣病予防の重要性が浮き彫りになっています。
複合リスク要因の危険性
特筆すべきは、単一の危険因子よりも複数の危険因子を持つ場合の方が心血管疾患リスクが高まるという点です。高コレステロール血症だけでなく、高トリグリセリド血症、耐糖能異常、肥満、高血圧などの要因を複数併せ持つ方が、虚血性心疾患を発症する頻度が高いことが報告されています。このため、総合的な生活習慣の改善が求められます。
コレステロールと血圧の基礎知識
コレステロールの役割と種類
コレステロールは体にとって必要不可欠な物質です。細胞膜の生成や脂質の分解に必要な要素であり、私たちが生きていく上で欠かせない成分です。しかし、バランスが崩れると健康上の問題を引き起こします。
コレステロールには主に2種類あります:
- 悪玉(LDL)コレステロール:増えすぎると血管壁に蓄積し、動脈硬化を促進します
- 善玉(HDL)コレステロール:血中コレステロールを回収する役割があり、40mg/dL以上が望ましいとされています
血圧と健康の関係
高血圧は様々な臓器障害を引き起こす「サイレントキラー」と呼ばれています。特に40代から徐々に血管の弾力性が低下し、血圧が上昇しやすくなります。高血圧が続くと、心臓、腎臓、脳などの重要な臓器にダメージを与え、動脈硬化を加速させます。

食事による対策
コレステロール・血圧改善のための食事原則
食事は高血圧・高コレステロール対策の基本です。バランスのよい食生活を心がけることが重要です。具体的には以下のような食事が推奨されます:
- 野菜を豊富に摂取する
- 塩分を控える(高血圧対策として)
- 良質な油(オメガ3脂肪酸など)を適量摂る
- 食物繊維を意識して摂取する
- 加工食品や揚げ物を減らす
機能性食品の活用
トマトに含まれるリコピンには、体内の血中HDL(善玉)コレステロールを増やす機能があることが報告されています。リコピンを8週間継続して摂取することで、善玉コレステロールを増やす効果が確認されています。
また、トマトに含まれるGABA(ギャバ)には、血圧が高めの方の血圧を下げる機能があります。GABAはアミノ酸の一種で、血圧降下作用を持つことから、健康機能成分として注目されています。トマトジュースのような機能性表示食品を日常的に取り入れることで、食事からの対策が可能です。

運動による対策
コレステロール・血圧改善のための効果的な運動
運動は善玉(HDL)コレステロールを増やし、悪玉(LDL)コレステロールや血圧を下げる効果があります。40代では以下のような運動が効果的です:
- 有酸素運動(ウォーキング、水泳、サイクリングなど)を週に150分以上
- レジスタンストレーニング(筋力トレーニング)を週に2回以上
- 日常生活での活動量増加(階段の使用、歩く機会を増やすなど)
無理なく続けるための工夫
40代になると若い頃のように激しい運動は難しくなりますが、継続が何より重要です。そのためには:
- 自分の好きな運動を選ぶ
- 少しずつ始めて徐々に強度を上げる
- 運動の習慣化(決まった時間に行うなど)
- 運動効果を記録して成果を実感する

サプリメントの効果的な活用
機能性成分と効果
サプリメントは食事や運動と併用することで効果を発揮します。コレステロールや血圧の管理に役立つ成分には:
- 松樹皮由来プロシアニジンB1およびB3:悪玉コレステロールを下げる効果があります。フランス南西部のランド地方に生育する海岸松の樹皮から抽出され、プロシアニジンをはじめ様々な種類のポリフェノールを含みます。
- リコピン:善玉コレステロールを増やす効果があり、継続的な摂取が重要です。
サプリメント選びのポイント
サプリメントを選ぶ際には以下の点に注意しましょう:
- 機能性表示食品や特定保健用食品など、効果が科学的に検証されているものを選ぶ
- 自分の健康状態や目的に合ったものを選ぶ
- 医薬品との相互作用に注意する(特に降圧剤やスタチン系薬剤を服用している場合)
- 適切な用量を守る

総合的な生活習慣改善プログラム
段階的な体重管理の考え方
肥満は高血圧や高コレステロールの主要な原因の一つです。特に内臓脂肪型肥満は生活習慣病のリスクを高めます。BMIが25以上30未満の肥満者は、内臓脂肪型肥満がその大半を占めています。
内臓脂肪型肥満と診断された場合、減量目標は現在のウエスト周囲径または体重の5%減が推奨されています。国際糖尿病連合(IDF)では5-10%の体重減少を目標としています。無理な減量は長続きしないため、段階的な目標設定が重要です。
生活習慣の総合的な見直し
生活習慣病対策として効果的なのは、食事・運動・ストレス管理などを総合的に見直すことです:
- 食事記録をつけて食習慣を客観的に把握する
- 睡眠の質と量を確保する(6-8時間の質の良い睡眠)
- ストレス管理(瞑想、趣味、適切な休息など)
- 禁煙(喫煙は善玉コレステロールを減少させ、血圧を上昇させる)
- アルコール摂取の適正化(過剰な飲酒は血圧上昇や肝機能障害の原因に)

健康診断と医療機関の活用
定期検査の重要性
40代では年に一度は健康診断を受けることが重要です。特定健診・特定保健指導制度は40歳以上を対象としており、疾患リスクの早期発見・予防を目的としています。健康診断の結果を経年的に比較することで、自分の健康状態の変化を把握できます。
検査値が正常範囲内であっても、前年より上昇傾向にある場合は注意が必要です。早期の段階で対策を始めることが、将来の深刻な疾患予防につながります。
医師との効果的なコミュニケーション
検査結果で「境界域」や「要注意」と指摘された場合は、医師に具体的な対策を相談しましょう。自分の生活習慣や家族歴なども含めて伝えることで、より適切なアドバイスを受けられます。薬物療法が必要かどうかは、総合的なリスク評価に基づいて判断されます。

結論
40代は生活習慣病予防の重要な転換点です。高血圧や高コレステロールは自覚症状が乏しいため、定期的な健康診断で早期発見し、食事、運動、サプリメントなどを総合的に活用した対策が効果的です。特に、単一の対策ではなく、複数のアプローチを組み合わせることで相乗効果が期待できます。
40代で健康的な生活習慣を確立することは、50代、60代以降の健康寿命を延ばすための重要な投資になります。一時的な改善ではなく、長期間継続できる無理のない生活習慣の改善を心がけましょう。健康は日々の小さな選択の積み重ねで作られていきます。